それは先日の調査の時に起こりました。
この映像を某英国の上司に送ったら金一封下さいました。

　

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「いーやーだーーーー！！！」
「でも向こうに行かないとお母さんやお父さんとも逢えないんだよ？」
「だってたのしみにしてたんだもん！おゆうぎかい！！！」
「う〜ん．．．．．どうしても嫌？」
「ヤダ」

今、僕らの目の前で繰り広げられているのは５歳くらいの男の子と
バイト仲間のＴ嬢との言葉の応酬。
会話だけ聞いていれば実に微笑ましいのですが、如何せん男の子の方が
既に鬼籍帳にお名前が載っているので何とも言えない光景です。
えっと．．．状況を説明するとですね、今回の依頼はとある保育園の園長先生。
近頃、園内でポルターガイストらしき現象が多々起こって困っているとの事で
僕らは調査に向かいました。
で、現れたのは一人の男の子。
この子は数年前に交通事故でお亡くなりになられているんですが
それが丁度「おゆうぎかい」当日の朝であったために楽しみにしていた
ダンスを踊る事ができずに成仏できないで居るらしいのです。
先ほどからＴ嬢が頑張って説得にあたってらっしゃるのですが
男の子は断固拒否を続けている状態なのです。
う〜ん。困りましたねぇ。

「あ、良い事思い付いた！！」

名案〜♪ と手を叩くＴ嬢。しかし僕の周囲の方々は微妙な表情を浮かべています。
彼女が調査中に思い付く事は大抵、某所長殿や某父親によって却下される事が
多く、更には某不憫な方に被害が被る事も多いのです。
え？ 僕は楽しみにしてますよ。だって特に害はありませんから☆

「．．．．．何を思い付いた？」
「この子の為におゆうぎ会やってあげれば良いじゃない？」
「なぜ？」
「ね、他の子はもう帰っちゃったんだけど。あそこに居るお兄さんたちと
　一緒におゆうぎかいしない？」
「するーーー！！！」



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「でんしんばしらのうえでー　スズメがいち・に・さんば〜　
　　　　　　たのしくおどっているよー　スズメがさんばおどってる〜」


とっても元気に、そして楽しそうに歌う男の子。
少し照れくさそうにしながらも、お手製のスズメの羽を腕に付けて踊るのはブラウンさん。
最初は渋ったものの、面倒見の良いお父さんは結構ノリノリで踊ってらっしゃいます。
が．．．．．．いやぁ見物ですねぇ．．．．．某不憫な方。
あの長身にスズメの頭の被り物＋画用紙で作ったくちばし。
おゆうぎかいなのにより忠実にスズメの羽を再現しようとした所為で（一人だけ）
やけにリアルに描かれたスズメの羽。
そして他の方と妙な感じにズレている踊り。
どう考えても通報されますよね．．．．．．僕なら迷わずします（断言）


心霊現象より貴重な映像を入手する事ができ（僕的に）充実した調査でした。
あ、男の子は踊り終わったら消えちゃいました。


　

[3回]