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   蓮群 雄莢 がお贈りする日々の徒然日記。                 僕が目撃した笑撃の瞬間を共有しようと始めた個人ブログサイトです。  
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うっわー、スイマセン。
僕、ブログを3ヶ月半も放置してたんですね。
夏場は本業の方が忙しくてまるっきり時間が取れませんでした。
大変お久し振りです、蓮群です......覚えて下さってるでしょうか?
これは夏も終わりに差し掛かった日の事です。



 



□□□□□□




「わー、すっごい雨」

カタカタと文字を打ち込んでいた僕の耳に、可愛らしい声が聞こえて来ました。
液晶画面から目を上げると、紅茶の入ったカップの乗ったお盆を持ったまま
窓の外を見ているT嬢の姿がありました。

「Tさん、どうかしたんですか?」
「あ、Yさん見て下さいよ! 外、すんごい雨ですよ!!」

T嬢の言葉に僕も席を立ち窓の外を見ると、道に叩き付ける様に激しい雨が降り
道路の低い部分へその雨が波打つように流れゆくのが見えました。

「これは凄いですね.....」
「こんな雨じゃ傘なんて役立たずで、全身ずぶ濡れになっちゃいそう」
「でしょうね。来る前とかじゃなくて良かったと思いますよ」
「本当に.....」
「ところで良いんですか? 冷めちゃいますよ?」

T嬢の記憶から忘れ去られていた紅茶を指し示せば「あっ!」っと声を上げ
慌てて彼女は所長室へと駆け込んでゆきました。
そんなに慌てなくてもとは思いますが、その姿が彼女らしいとも思います。

それから暫くして所長室から出て来たT嬢の淹れて下さった紅茶をお供に
僕はまた資料の打ち込みに戻りました。
夏の現場が忙しくて、T嬢も報告書の作成に精を出しておられます。
カタカタと2人分のキーボードを叩く音だけが響いていた空間に
ピカっ.......................っと光が射込みます。

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ

「わっ!雷.......」
「結構近かったですね」
「だねぇ」
「Tさんは雷が怖いとかないんですか?」
「特にないかなぁ、だって雷なんかよりこわーい人知ってますもん」
「あはははは! 確かに雷なんかより怖い人はいらっしゃいますね」
「でしょう?」

僕とT嬢は、そんな冗談を言いながら笑い合いました。
しかし雷はその間も鳴り響き、どんどん近付いて来ている気がします。

「停電になったりしたら困りますから、一旦保存しといた方が良さそうですね」
「................そんな事になったらアタシは泣くね」
「あはははは」
「笑い事じゃないってばー」

僕たちが丁度データの保存を終えた時、強い光と、大きな音が鳴り響きました。

「っ!!」
「大きな音でしたね」
「びっくりし.................え?停電!?」
「落ちちゃったんですね。えっと懐中電灯は.....と」
「あ、確か給湯室に」

薄暗い事務所の中、僕たちは懐中電灯を取りに給湯室へ向かいました。
T嬢には美味しい紅茶をお願いして、僕はガサガサと流し台の下を探ります。
そして2本の懐中電灯を見つけた僕は、その内の1本を所長に紅茶を持って行こうと
しているT嬢に預けました。
とは言っても暗いのでT嬢の足元をもう1本の懐中電灯で照らしながらですが。


ポタリ


「.............い、今何か聞こえなかった?」
「.............」


ポタリ


「や、やっぱ何か聞こえ....」

何かが落ちる音が確かに聞こえました。
現場での数々の恐怖体験の所為でT嬢は怯えてらっしゃいますけど
今の音、僕にも聞こえたんですよねぇ.............
これって、どなたか廊下にいらっしゃるだけの様な気がします。
そうT嬢に伝えようとした時、キィっと扉の開く音がし、ヌッと大きな影が........


「んぎゃーーーーーーーっ!!!」


耳を劈くような叫び声が、僕の隣りから聞こえてきました。
その声を聞き付けたらしい所長の部屋の扉が開く音がします。

「何があった!?」

いつも冷静沈着な我等が所長が、眉間に皺を寄せながら訊ねます。
その声に答えたのは、僕でもT嬢でもありませんでした。

「T、Tさん落着いて下さい!!私ですっ!!!」
「へ? ..................................Rさん?」
「そうです」
「「「....................................」」」

手に持っていた懐中電灯を扉の方に向けると、そこには全身ずぶ濡れになった
R氏が立っていらっしゃいました。
そういえば僕たちが来たのと入れ違いで外出されてましたね。
すいません...................すっかり忘れてました。

「びしょびしょじゃないですか!?タ、タオル持ってきますね!!」
「すいません、お願いします」

わたわたと給湯室へ走り込むT嬢と、彼女の気遣いに頭を下げるR氏。
そんなやり取りを見、眉間の皺を深くした所長。

「人騒がせな」

それだけを言うと再び自室に戻られました。
あぁ、大変です。
全身ずぶ濡れなのに所長の絶対零度の視線を受けたR氏は固まってしまいました。
T嬢.......タオルより熱い紅茶の方が良いかもしれませんよ。







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